理容師と美容師の違い

 

 

一般的に、理容師と美容師の違いとして認知されているのは、髭剃りができるか・できないか、かと思います。

 

 

まず、理容・美容の定義について簡単に説明します。

 

理容とは「頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整える事をいう」(理容師法 第一条の二)

美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧の方法により、容姿を美しくすることをいう」(美容師法 第二条)

 

コレを見ると美容の業務に顔そりは含まれていませんよね。

 

しかし顔そりに関しては昭和23年に厚生労働省から通達が出ており、

化粧に付随した軽い程度の顔そりは化粧の一部として美容師がコレを行ってもさしつかえない。」

 

となっており、美容師も軽い顔そりはできるのです。

 

 

となるとますます理容と美容の違いがわからなくなってきます。笑

 

 

 

 

では国家試験の違いはないのでしょうか?

 

 

実際の国家試験の内容で比べると、

 

理容師国家試験の実技内容

「カッティング・シェービング・顔面処置・整髪」

 

美容師国家試験の実技内容

「カッティング・オールウェーブorワインディング」

※オールウェーブはヘアスタイルの一つです。ワインディングはパーマ技術の基本になります。

 

 

筆記試験は「関係法規制度・衛生管理・保健・物理化学・技術理論」があり、

技術理論の部分以外は共通となります。

(※令和2年以降の筆記試験科目は変更され、関係法規及び運営管理・衛生管理・保健・香粧品科学・文化論及び技術理論となります)

 

 

そう、理容の実技試験には顔そりが含まれているため、

理容試験に合格しようと思うと、最低限の顔剃りの技術は身に着けなければなりません。

 

逆に美容師さんはパーマやヘアセットの技術が必須になるということですね。

 

 

あるとすれば免許取得の段階で生まれるこの「差」ぐらいしかないと思います。

(あくまで免許取得までの話であり、

その後シェービングの講習を受けたりして技術を身につければ関係ありませんが・・・)

 

 

というわけで法的な大きな違いはないということでした。笑

 

 

 

 

 

 

ココからは理容と美容両方の資格を取得して個人的に感じた違いをご説明できればと思います。

 

 

 美容師になる前の私は、

 

「理容師さんと聞くと古風なイメージ」

「美容師さんって聞くと華やかなイメージ」

 

そんな漠然としたイメージしかありませんでした。

 

 

おしゃれな美容師さんに憧れた私は、まず美容師免許を取得しました。

その後理容師免許を取得し、違いに気が付きました。

 

 

まずは、道具に対するこだわり。

 

もちろん美容師さんも道具は大事にしているのですが、

理容師さんになると人によっては自分でハサミを削って自分好みにしたり、

カットで使うクシを自分で削っていたりと、美容師をしていた私には想像できない世界でした。

 

 

次に、基礎カット。

 

美容・理容ともに基本的なカットのスタイルがあります。

当たり前ですが、美容はレディース向けのカット、理容はメンズ向けのカットになります。

 

なので必然的に長い髪型が上手な美容師さん・短髪が得意な理容師さんが多くなるかと思います。

(もちろん個人の技術レベルによって大きく違います)

 

理容で代表的な技術に「刈り上げ」があります。

 

美容師さんは基本的に、

クシで梳(と)く→指で挟む→ハサミでカット。

という方法をでカットを進めていきます。

 

理容師さんは短髪部は、

クシで梳きながら、直接クシにハサミを当ててカットしていきます。

こうすることで、自分の指の幅より更に短く切ることができるわけです。

 

ザックリいうと、これが刈り上げの基本的な理論。

 

これが美容師の感覚としては怖い!笑

 

特に耳周りのカットの際、

今までは、お客様も耳とカットする部分の間に、自分の指があったので、

ハサミが直接頭に当たることはなかったですが、

刈り上げの場合、耳とハサミの間にクシしかない状態になります。

これには驚愕しました!

 

 

 

更に理容では、基本となる立ち姿勢、足の運び、ハサミの開閉回数、クシの動く方向まで決まっており、

美容のときより細かく決まっているなぁという印象でした。(忘れているだけかもしれません)

 

 

 

 

 

そして、性格。

 

これこそ私の偏見も大きく関係するかと思いますが、

 

美容師を目指す人は「おしゃれ大好き!かっこいい、かわいい!が好きな感覚重視」

 

理容師を目指す人は「技術勝負。きっちり仕上げたい。という論理的なタイプ」

 

な感じがします。

 

もちろん、めちゃくちゃ理論派の美容師さんもいますし、

めちゃくちゃ直感派の理容師さんももちろんいます。

 

 

あくまで学生の時に理容と美容どちらの免許を取得するか選ぶ時のイメージです。

 

 

この性格の違いが、今後作るヘアスタイルの違いにつながるような気もします。

 

 

華やかで、動きあるのスタイルか、

 

硬派でメリハリのあるスタイル

 

 

 

 

 

 

 

理容と美容、

どちらが優れているわけでもなく、どちらにも大きな魅力があると思います。

 

 

ダブルライセンスを取得してみて、男性のヘアスタイルに関わる仕事の奥深さを知り、

まだまだ未熟であることも確認させられました。

 

 

現状、新しく理容師になる人口は美容師の10分の1ぐらいしかいません。

確実に業界を引っ張っていっているのは美容です。

 

 

美容が廃れていく心配は今の所ないですが、理容は廃れていく可能性十分にあります。

 

 

理容師免許も取得したものとしては、

美容のいい部分と理容のいい部分をまぜて、技術・知識を伝承し

 

より多くのお客様に、より深く満足していただけるスタイリストになれるよう精進していきたいと思います。

 

 

 

分かりにくい説明かもしれませんが、美容と理容の違いが少しでも皆様にご理解いただけると嬉しく思います。

 

皆様のご来店スタッフ一同心よりお待ち致しております!

 

 

 

メンズサロンちょんまげ

筆者 マネージャー 川端 真一